YTS界面張力測定技術解説 |
2002/11/04 (月) |
累積皮膜除去測定方法は適用法の原理に基づく界面張力測定における測定精度向上技術として開発した。
残液除去についても名称が違うだけで基本的には同様の手法。
界面活性が強い試料を吸着平衡後にシリンジキャピラリ先端から滴下すると、当然ながら吸着平衡した試料液液が残る。
この吸着平衡した液で覆われたキャピラリ先端に残余する液は内部から押し出される試料液で膨らむ如く増大する。
これは恰もゴム風船を膨らます状態になる。
薄いゴムが吸着平衡した試料液と考えれば良い。
初めから吸着平衡した界面が存在するので吸着平衡特性の測定は困難になる。
此れまでの吸着平衡特性の自動測定経験から長時間吸着平衡直後の短時間滴下値が直前の結果に大きく影響される事を知った。
特にキャピラリガラス表面と親和性の強いアニオン性界面活性剤の測定においてこの現象は著しい。
残余試料液は短時間滴下を行うことにより除去出来る。
1〜2回実施すると直前滴下の影響を軽減できる。
自動測定装置であればソフト的に簡単に実施できるので最新の測定ソフトには組み込んでいる。
残余除去はシリンジセットした時に温度平衡処理を行い、キャピラリ先端に残余する試料液が温度平衡時間だけ吸着平衡時間を取ったのと同様になる。
この先端残余試料液を除去して影響を軽減するのが残余除去法になる。
アニオン性界面活性剤の測定においては不可欠の測定手法と考える。
滴容法で界面張力を測定する場合は、予め液滴を生成しキャピラリ先端にぶら下げておく必要がある。
この押し出し量すなわち進度は結果からしか解かり様が無い。
滴下数は複数回出来るので直前滴下時の進度をフィードバックすればより正確な測定が可能になる。
研究者の中には落ちる直前に極めて低速度で液滴を増大させ測定精度を向上させ様とする。
適切な進度で液滴を生成し吸着平衡時間を取らなければ測定時間と労力の無駄になる。
追加試料液については吸着平衡時間を同等には取れず全体については時間を延長したことになるから。
自動測定ソフトにより適切な進度をフィードバックさせ測定に利用するのが自動進度調節測定方法。
界面活性の強い試料測定には不可欠の測定手法になる。