シリンジ洗浄方法 2001年5月13日 日曜日

DVS2000の開発経過から滴容法では測定値再現性とシリンジの洗浄方法に大きな関係がある事を知った。如かしながら測定原理との関係を厳密に考えると重要度には大きな差が存在する。液滴生成部以外は洗浄と希釈倍率の関係で考えると一般化学分析と同程度で良いことがDVS2000での測定からも実証できた。滴容法に使用するシリンジの洗浄方法は特に重要であり詳しく掲載


1.シリンジを新たに使い始める場合

  1. シリンジ全体を酸洗浄
    (1+1)硫酸に24時間程度浸置きしてガラス加工時の付着物を取り除く。
  2. 中性洗剤で洗浄
    2%中性洗浄剤に浸け置きする。
     <中性洗浄剤例>
     エキストランMA02(メルク・ジャパン)
     スキャット20X−N(第一工業製薬)
     ディポッシュ−L(環境科学センター)
     アムコア400(アムコ)
     コンタミノン(和光純薬)

    水道水で充分水洗。(アルカリ性洗浄剤は絶対に使用禁止)
    中性洗浄剤と超音波洗浄器を併用して10分以上洗浄。
    水道水で充分水洗。
    蒸留水と超音波洗浄器を併用して10分以上洗浄。
    流水で充分洗浄した後蒸留水でリンス。

  3. 乾燥
    シリンジに付着している液滴を可能な限り吹き飛ばする。
    清浄な雰囲気の乾燥器で充分乾燥する。
    乾燥温度は100〜120℃。

  4. キャピラリ研磨
    キャピラリ先端に僅かでもクラックがあるならば専用精密研磨機で再研磨する。
    研磨後は水道水で充分水洗。
    キャピラリ先端を蒸留水と超音波洗浄器を併用して10分以上洗浄する。
    蒸留水でシリンジを充分濯ぐ。
    採水時に試薬に触れない部分のみ清浄な紙ワイプで水滴を拭う。
    内部の水滴は振り切るか清浄な圧縮空気で吹き飛ばす。

  5. 測定
    乾燥する事無く測定試料で友洗いして測定に使用する。
    測定終了後は水道水でシリンジ内外部を充分水洗。
    蒸留水でリンスする。
    採水時に試薬に触れない部分のみ清浄な紙ワイプで水滴を拭う。
    高湿度雰囲気で保存する。
  6. 再測定
    水道水でシリンジ内外部を充分水洗。
    蒸留水でリンスする。
    採水時に試薬に触れない部分のみ清浄な紙ワイプで水滴を拭う。
    工程d.から実施。
    シリンジを完全に洗浄する場合は工程a.から実施。

2.現用中シリンジの場合

  1. キャピラリ先端が乾燥した場合
    自然乾燥も含む。
    研磨剤入り洗浄剤を柔らかい歯ブラシ等に付けてキャピラリ先端部を洗浄する。
    洗浄時に先端にクラックを発生させぬよう充分注意する。
    液滴生成時にキャピラリ側面最下部が完全に濡れる事を確認する。
    撥水性が出たキャピラリを使用すれば測定値が減少する。


注)環境問題を考慮して洗浄にクロム酸混液を使用しないこと。中性洗浄剤と硫酸の使用で充分洗浄できる事を確認している。

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