YTS滴容法表面張力測定装置


温度調節の重要性  2000年11月5日 日曜日

滴容法による表面張力測定において試料温度を安定で精確に調節する事は極めて重要。温度調節は適切な装置を選択することにより簡単に高精度・高安定度を得られる。測定誤差要因の中で最も簡単に低減出来るのは温度関係と考えられる。温度精度の目安として3時間連続自動調節しても設定温度±0.05℃以下に保つ性能が必要。市販の工業用温度調節器は一般的に1/10℃の桁までしか表示しない。測定精度は±0.1〜±1℃程度が一般的。0.1℃以上の精度を得るには1/100℃の桁で制御する必要がある。加熱ヒーターとして熱容量と入手の容易さから熱帯魚飼育用投げ込みヒーターを流用している。温度制御方法はON−OFF制御とPID制御の2つが考えられる。測定する環境は研究室内が一般的でありら室温は或る程度安定していると考えて良い。制御特性は原理的にPID方式が優れているが実用的にはON−OFF制御が確実で簡単。1/100℃精度を確実に得るにはヒーターの使用方法と選定が重要です。以下の方法によりどちらの制御方法でも0.01℃の精度を安定して得られた。冷却器を利用しない加熱制御だけの場合は室温+1〜2℃が最低設定温度になる。 1個のヒーターだけで安定させるのは困難です。水槽容量とヒーター容量の最適化用にヒーター電力設定用スライダックの役目が重要です。ベースヒーターにより目的の温度より僅かに低い温度を保ちコントロールヒーターで設定温度に合わせ込む方式です。室温変化の影響はPID方式が受け難いが恒温水槽に気化熱防止用蓋を取り付けON−OFF制御するのを推奨する。コントロールヒーターとベースヒーターとに個別に電力調節器(スライダック等)を持つ温度調節器が広範囲の精密温度制御に対応出来る。クリア電球をヒーター代用に使用する事は感電の危険があり適切に電力をコントロールしていない場合は直射光によりガラスセル内の温度は設定温度よりも多少高くなる事を確認している。低価格の精密温度調節器が入手可能な現在ではクリア電球に拠る温度調節は温度精度から考えて望ましいものではない。これは取り除ける誤差要因は確実に排除する高精度測定原則に反する。現在のシステムでは電子冷却器を利用した冷却装置により夏場でも25℃の測定が簡単に出来る様にしている。この方式は揮発性試料測定時の蒸発防止にも役立っている。最新温度調節器には冷却器用電源を内蔵している。的確な制御方法の採用により周年精確な温度制御が可能と成っている。


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