2000年10月24日 火曜日

 これまでの自動表面張力測定装置の問題点

機械、電気制御、化学、制御ソフトなど物理化学に留まらず科学全般に関係する改良を要する問題点を以下に列挙する。全てを改良しなければ完成した測定装置とは言い難い。

  1. 温 度 > 恒温水槽、温度調節器、シリンジホルダー、ガラスセル
  2. 圧 力 > ガラスセル、シリンジ、架台
  3. 蒸気圧 > ガラスセル、シリンジホルダー、架台
  4. 時 間 > シリンジ、制御ソフト
  1. 温度(恒温水槽関係)
    1. 温度調節器性能不足  (水銀スイッチ方式など)
    2. 熱源選択不備     (電球加熱方式、電力調節不備のヒーター)
    3. 気化熱対策不備    (蓋の無い恒温水槽)
    4. 加熱冷却が面倒    (投げ込みクーラー、氷を投入し調節)
  2. 圧力
    1. 不必要な気密シールの多用
    2. シリンジ内外圧力差発生
  3. 蒸気圧
    1. 温度勾配の存在が蒸気飽和を妨げる
    2. 液滴周辺空間の密閉不足
    3. 蒸気飽和用濾紙使用による蒸気組成率変化
  4. 時 間
    1. 手動測定       (厳密な再現は不可能)
    2. 制御手法に個人差   (    〃    )
  5. 機 械
    1. 不必要な気密シールの多用
    2. シリンジ内外圧力差発生

低再現性

滴容法の測定精度は純水測定で0.05mN/m以下と公表されている。再現性まで考慮すると実現は非常に困難。熟練研究者であれば実現可能とされているが一般研究者でも再現できる測定装置でなければ意味が無い。

温度調節器性能

温度調節精度が1/100℃であれば0.1℃の桁は正しいと考えて良い。ヒーターとしてセンサー、ガラスセルを直接加熱しない方式が望ましいが白熱電球をヒーターの代用として採用している場合があった。25℃が基本的測定温度だが周年この温度を加熱制御だけで維持することは困難。
  参照)電球加熱方式の温度実測値図

恒温水槽

30〜40リットルのアクリル製恒温水槽を使用し多量の保温水でガラスセル内試料温度を安定させているが水槽に蓋が無く気化熱の影響を受け易く長時間安定して高精度維持は困難。

温度勾配

シリンジホルダー、ガラスセルの一部分は空気中に在り温度勾配が存在する。シリンジホルダーは熱伝導度、熱容量の大きい金属材料製。

蒸気飽和

温度勾配の存在は長時間密閉放置しても蒸気が熱移動媒体となり濃度が定常状態になるだけで蒸気飽和しない。

バックラッシュ

液滴生成にピストンを押し下げる推力軸の定加重駆動が不十分。

ガラスセル形状

熱勾配、蒸気飽和を理論的に考慮した設計で無い。

測定用シリンジ

全ガラス製シリンジを採用しており押し棒と外筒内面との隙間が測定値に平衡時間に連れ大きく影響する。揮発性、アニオン性界面活性剤の測定を困難にした。

有機蒸気吸収

大部分の合成樹脂はアルコール蒸気などを吸収する。機構部品材質として一部使用。

洗浄剤

環境問題により使用を控えたいクロ混でガラス器具洗浄

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